機械部品調達のAIプラットフォーム「meviy(メビー)」(サービス提供元:株式会社ミスミグループ本社)は、宇宙産業への期待感や宇宙産業の設計・開発業務の実態調査を実施しました。対象は、宇宙産業の機械設計者、その他の宇宙関係者、一般の製造業従事者の計400名以上です。その結果、業界の将来性への高い期待と、現場が抱える課題との間に大きなギャップがあることが分かりました。
調査結果のまとめ
調査結果のまとめ
成長期待:宇宙産業の成長を見込む回答は全体で55.2%、宇宙産業機械設計者では75.3%。特に小型衛星・衛星データ、安全保障、打上げ分野への期待が高くなっています。
参入障壁:一方で、今後2~3年の同産業への参入・拡大は55.2%が「予定なし・未定」。少量多品種による採算性、高い信頼性・安全性への対応、専門人材不足が壁となっています。
現場課題:宇宙産業機械設計者・開発者の76.8%が業務の逼迫を実感。約6割が業務時間の3~5割を調達・品質対応などに費やしています。納期の不透明さや見積取得の長期化も開発の停滞を招いているようです。
解決の方向性:3Dデータのまま発注し、価格・納期・製作可否を即時に確認できるデジタル調達によって、周辺業務を削減し、設計者が注力すべき業務へ集中できる環境づくりが求められます。
調査概要
調査概要
| 項目 | 内容 |
| 調査目的 | 宇宙産業への期待感、参入意向・障壁、設計・開発業務および部品調達の課題を把握するため |
| 調査対象・有効回答数 | 宇宙産業機械設計者69名/それ以外の宇宙関係者100名/上記以外の製造業従事者300名の計469名(設問により回答対象・サンプル数は異なる) |
| 調査方法 | 独立した第三者ソースを通じたオンラインアンケート調査 |
| 調査時期 | 2026年3月 |
官民連携で加速する「市場成長」へ熱量
官民連携で加速する「市場成長」へ熱量
近年、民間企業によるロケット打ち上げや衛星データの多角的な活用が進み、宇宙産業は次世代の成長市場として注目を集めています。今回の調査結果でも、業界の将来性に対する期待の高さが数字に表れました。
宇宙産業(ビジネス)の今後の成長性について尋ねたところ、全体では55.2%が「非常に成長すると思う」または「成長すると思う」と回答。特筆すべきは、実際に宇宙関連の設計業務に従事している「宇宙産業機械設計者」に限ると、その期待値は75.3%にまで達した点です。開発の最前線に立つ専門家ほど、市場の成長を確信している実態がうかがえます。
n=469(①宇宙産業機械設計者=69、①以外の宇宙関係者=100、①②以外の製造業従事者=300)
期待が高まる背景には、公的支援と民間企業の活発な動きが挙げられます。成長を見込む理由として最も多かったのは「国の予算拡大や政策支援(62.5%)」であり、次いで「民間企業・スタートアップによる投資や事業参入の拡大(55.2%)」が続きました。これまで国家プロジェクトが主導してきた宇宙開発において、宇宙基本計画といった国家戦略による後押しと、民間のダイナミズムが融合し始めていることが、市場への信頼感を高めていると考えられます。
具体的な期待分野は、「小型衛星・コンステレーションおよび衛星データサービス(48.6%)」や「防衛・安全保障および宇宙状況把握(SSA)関連分野(47.1%)」、「宇宙輸送・打上げサービス(43.2%)」が上位を占めました。とりわけ衛星データを活用した通信インフラの高度化や防災対策、スマートシティなどの地上ビジネスとの連携に対する期待が高まっています。
今回の調査を通じて、宇宙産業が「一部のプレイヤーによる特殊な領域」から、多くの企業が将来的な事業機会を見出す「開かれた成長市場」へと変わりつつある実態が明らかになりました。
n=259(①宇宙産業機械設計者=52、①以外の宇宙関係者=61、①②以外の製造業従事者=146)
収益性、技術要求、人材不足。宇宙ビジネス参入を阻む「三つの壁」
収益性、技術要求、人材不足。宇宙ビジネス参入を阻む「三つの壁」
市場の将来性に対して高い期待が寄せられている一方、自社の具体的な事業展開となると、多くの企業が慎重な姿勢を見せているという実態も浮き彫りになりました。
今後2~3年の宇宙分野への参入・拡大意向について尋ねたところ、全体では55.2%が「参入予定なし・未定」と回答。特に一般の製造業従事者においては、74.0%に達し、市場の盛り上がりとは対照的に、自社ビジネスとしての参入・拡大には依然として高いハードルを感じている企業が少なくないことが分かります。
n=469(①宇宙産業機械設計者=69、①以外の宇宙関係者=100、①②以外の製造業従事者=300)
障壁の背景には、宇宙産業特有のビジネス構造や技術的難易度、人材面の制約があると考えられます。
収益性の壁:参入障壁として最も多く挙げられたのは、 「少量多品種になりやすく、採算を取りにくいこと(29.0%)」。宇宙産業は民生品のような量産効果が期待しにくく、初期投資に見合う利益を確保できるかという懸念が、多くの企業の参入をためらわせていることがうかがえます。
n=469(①宇宙産業機械設計者=69、①以外の宇宙関係者=100、①②以外の製造業従事者=300)
技術要求の壁:次いで「高い信頼性・安全性を満たす技術要求への対応の難しさ(28.6%)」
宇宙という極限環境で使用される製品には、地上向け製品とは比較にならない高水準の品質や、厳格な規制・認証への対応が求められます。特に「宇宙産業機械設計者」の間では、「規制・認証・制度対応の複雑さ」を挙げる割合が43.5%と非常に高く、実務レベルでの制度的ハードルが、開発スピードを阻害する大きな要因と認識されています。
人材・実績の壁:「初期顧客・初号案件を獲得しにくいこと(27.5%)」に加え、一般の製造業従事者からは「宇宙産業の知見・経験者の不足(28.3%)」を不安視する声も多く挙がりました。実績がないことが新規顧客の獲得を妨げ、それが知見の蓄積を遅らせるという悪循環が、新規参入を阻んでいると考えられます。
調査からは、宇宙ビジネスを「魅力的な市場」と捉えつつも、収益化の難しさ、技術的ハードル、専門人材の不足という三つの壁が、多くの企業の前に立ちはだかる現状が明らかとなりました。
開発を停滞させる「待ち時間」の実態
開発を停滞させる「待ち時間」の実態
宇宙ビジネス参入への障壁は、外部環境だけではありません。宇宙分野の最前線で働く設計・開発者の日常業務そのものが、深刻なリソース不足と非効率に直面している実態も明らかになりました。
現在の設計・開発業務の負荷感について尋ねたところ、宇宙産業機械設計者の76.8%が「常に逼迫している」または「やや逼迫している」と回答しました。さらに内訳をみると、設計者が本来注力すべき業務以外に、多大なリソースが割かれていました。設計・開発者の約6割が、全業務時間の「3~5割」を調達や品質対応などの業務に費やしていると回答しています。
では、具体的にどのような業務が負担となっているのでしょうか。調達・購買関連のリスクや負担を尋ねたところ、「納期が読みづらく、開発スケジュールに影響が出やすい(52.2%)」が最多となりました。次いで「特定のサプライヤへの依存が高い(43.5%)」や「品質基準や証憑(材料証明・検査成績書等)への対応が煩雑(43.5%)」、「見積取得に時間がかかる(42.0%)」が挙がりました。
n=69(宇宙産業機械設計者のみ)
宇宙ビジネスでは、一つの設備を作る際に膨大な図面作成、見積依頼、サプライヤとの調整が発生します。本来の設計業務以外にかかる工数はトータルで約1,000時間にものぼるといわれています。今回の調査結果は、こうした待ち時間が、現場の生産性を阻害する大きなボトルネックになっていることを示しています。
一方で、閉塞感を打破する前向きな変化も見られます。宇宙分野では一律に厳格な品質基準が求められがちですが、46.4%の設計者が「ミッションの重要度に応じて適用する品質要求レベルを使い分けるべきだ」と回答しています。機能や安全に直接影響しない部品には柔軟な基準を適用し、調達のスピードやコストとのバランスを最適化すべきだという、現場の切実な声が明らかとなりました。
設計者が本来の付加価値を生み出す環境へ
設計者が本来の付加価値を生み出す環境へ
今回の調査で明らかになったのは、宇宙産業の将来性に強い期待が寄せられる一方、多くの企業が技術・人材・開発体制への不安から、参入に慎重になっているという現実です。特に、設計者が本来の設計検討よりも、見積取得や部品調達、サプライヤとの煩雑な調整といった「周辺業務」に苦しんでいる実態は、日本の宇宙開発を加速させる上での大きな課題といえます。
ミスミは、このような業界全体の課題に対し、機械部品調達AIプラットフォーム「meviy(メビー)」を通じて、デジタルによる解決策を提案しています。meviyは、設計データ(3Dデータ)をWeb上にアップロードするだけで、即時に価格と出荷日を確認できます。今回の調査で理想の調達として上位に挙がった「図面を描かず、3Dデータのまま発注できる(46.4%)」や「その場で見積金額や製作可否が分かり、待ち時間や確認作業が発生しない(27.5%)」というニーズに直接応え、設計者が本来注力すべき「付加価値を生み出す業務」に集中できる環境を支援します。
n=69(宇宙産業機械設計者のみ)
さらに、宇宙分野特有の高度な技術要求にも対応を広げています。宇宙空間で使用される部品に不可欠な「アロジン処理」や、ステンレスの耐食性を高める「不動態化処理」、さらには宇宙機で多用される特殊な材質への対応を強化しました。これにより、専門の加工業者を自ら探し、何週間もかけて見積もりや納期を調整していた従来の調達プロセスを、Web上の操作だけで完結できます。
ミスミは、ものづくりのプロセスにおける非効率をデジタルの力で削減し、日本の宇宙産業が持つポテンシャルを最大限に引き出すインフラとなることを目指しています。現在、航空宇宙分野におけるmeviyの取り組みを紹介する特設LPを公開中です。宇宙産業のさらなる加速に向けた、新しいものづくりの方法をぜひご覧ください。
航空宇宙特設LP:https://jp.meviy.misumi-ec.com/info/ja/aerospace/
meviy とは
meviy とは
meviyは機械部品の3DデータをアップロードするだけでAIが自動で即時見積もりを行い、独自のデジタル製造システムを駆使することで最短1日での出荷を実現するサービスです。これまで機械部品の調達時に発生していた作業時間を9割以上削減し、お客さまの部品調達業務における非効率を解消します。4年連続で国内シェアNo.1※を獲得していることに加え、第9回ものづくり日本大賞で「内閣総理大臣賞」を受賞するなど、製造業の生産性向上において高い評価を得ています。海外でのサービス提供も拡大しており、部品調達DXを通じた時間価値をグローバルで提供しています。
※2023年オンライン機械部品調達サービス国内ユーザー数シェア テクノ・システム・リサーチ調べ
ミスミの「デジタルモデルシフト」が拓く、ものづくりの未来
ミスミの「デジタルモデルシフト」が拓く、ものづくりの未来
ミスミグループは、デジタル技術の力でものづくりプロセスそのものを変革してきました。
2000年には業界に先駆けてインターネット注文サービスを開始し、部品の選定から発注までをWebで完結させる仕組みを構築しました。そして、3DデータのみでAIが自動見積もりをする「meviy(メビー)」をはじめ、数々の革新的なサービスを展開、産業界の生産性向上に確かな変革をもたらしてきました。
ミスミグループは、「デジタルモデルシフト」を成長戦略の核に据え、設計・調達プロセスのDX化によって、設計・生産現場の生産性を飛躍的に向上させるとともに、最適な調達サービスを通じたコスト削減も実現します。
お客さまが日々の煩雑な業務から解放され、より創造性の高い仕事に取り組めるようになる。
ミスミは、これからも一人ひとりの「時」を価値あるものへと変え、ともに持続的な成長を創造していきます。
ミスミとは
ミスミとは
ものづくりの現場で必要とされる機械部品から工具・消耗品まで4,000万点超をグローバルで製造・EC販売しています。さらにIT・AIを活用したデジタルマニュファクチャリングを展開し顧客時間価値を高めています。